第1事業部 在宅勤務の歩み

第1事業部 在宅勤務の歩み

第1事業部で副事業部長をしている境野です。『ドラゴンクエストタクト』にも関わらせていただいております。

今日は、コロナ禍が始まった2020年初旬から現在(2022年2月)に至るまでの第1事業部における在宅勤務の歩みについて書きます。当ブログで、以前にも類似した内容の記事をアップしましたが、今回は私たちが在宅勤務に移行した経緯や、在宅勤務にあたって苦労したことや工夫したことなどをもう少し深堀りして書いていきますので、Aimingに興味があるかたや、他社様で在宅勤務をされてるかたの参考になれば幸いです。

下記の2部に分けて書きます。

第1部:在宅勤務開始から現在までの軌跡
第2部:在宅勤務における課題と工夫/メリット

目次

第1部:在宅勤務開始から現在までの軌跡

在宅勤務への移行

2020年2月中旬、新型コロナウイルスが日本でも問題になり始めたのがこの時期だったと思います。

※厳密には、第1事業部は2020年にはまだ存在していなかった(2021年発足)のですが、便宜上、現在第1事業部内にあるプロジェクトの話を、第1事業部という括りで書かせていただきます。

まだ、多くの人々が、ここまでおおごとになるとは思っておらず、緊急事態宣言という言葉も出てなかった頃ではないでしょうか。

このタイミングで会社から、可能なプロジェクトは在宅勤務に移行するようアナウンスが出ました。日本の会社の中でも、比較的早いタイミングで在宅勤務への切替の判断をしたと思います。

それだけに、当時は在宅勤務に関する情報は今ほど出回っておらず、どのような問題やリスクがあるのかが分からない状態で、そもそも在宅勤務で本当に仕事が上手く回るのかが分からなかったというのが正直なところでした。

在宅勤務切替の判断

そのように情報不足な状況であったことに加え、第1事業部の某プロジェクトではクローズドβテストを間近に控えていたこともあり、容易に「じゃあ在宅勤務にしようぜ! 野郎ども準備しろ!」「アイアイサー」というわけにはいかず、色々と議論をしました。

様々な懸念は挙がったものの、現事業部長である水島の「スタッフへの感染を防ぐためには、1日も早く在宅勤務に切り替えたほうが良い」という判断により、在宅勤務への切替を早急に進めることとなりました。結局のところ、プロジェクトを成功させるためには、スタッフみんなが元気に働けることが必須なので、スタッフの身体や健康が最優先であるという結論に至ったのです。

正常化バイアスとの戦い
この時点では「新型コロナはインフルエンザと同程度であって、そこまで危険なものではない」という声もネット上ではよく見られ、本当にこのタイミングで急いで在宅に切り替える必要があるのかという思いが、私の中に一切無かったと言えば嘘になります。
しかしながら、結果的にはこのタイミングで在宅に移行して正解だったと感じています。こういった状況で、「まだ大丈夫なんじゃないか」と思ってしまう正常化バイアスを払拭して、早めに行動を起こすことの大切さを学びました。

PCの配送

在宅勤務移行にあたってまず必要なのは、会社で各スタッフが使っているPC(モニターや周辺機器含む)をスタッフの自宅に配送することでした。スタッフの自宅にあるプライベート用PCで仕事をしてもらうのは、開発用ソフトのライセンス的な問題や、セキュリティ面での懸念があったため、普段仕事で使っているPCを配送するのが一番手っ取り早い手段だったのです。

多くのスタッフは、スペックの都合上デスクトップPCを使っていたため、配送にあたり大量の梱包資材が必要になりました。私と一部スタッフで近くの東急ハンズに何往復かして、大量の段ボールやガムテープ、エアパッキンを購入し、足りない分はアスクルさんに注文して梱包資材を揃えました。アスクルさんが大変頑張ってくださったこともあり、在宅勤務移行の判断をしてから2日後には100箱超の段ボール箱が揃い、第1事業部全員分の配送が可能になりました。

仕事が止まる

配送に関してひとつ書いておくとするなら、それは思った以上に仕事が止まるということです。多くのスタッフが2日ほど仕事ができない状態になります。

  • 仕事用PCを梱包する
  • 配送業者が集荷する
  • 自宅にPCが届く

という流れが必要になり、PCを梱包した後は、自宅にPCが届くまで仕事ができません。
配送する物量が少ない場合には、午前中に集荷して翌日着での配送も可能なのですが、100箱超となるとすべてが翌日着というわけにはいかなかったといった事情もあります。

なので、もし時間に余裕がある状態であるならば、翌日配送してもらえる量に分けて段階的に在宅勤務に切り替えたり、休日前に配送することで稼働できない営業日を減らしたりするのが効率的かと思います。
さらに金銭的なコストが許容できるのであれば、会社のPCは会社に残しつつ、自宅用の新しいPCを用意して配送するのが、仕事ができない時間を無くすという意味ではベストだと思います。

パソコン宅急便

ひとつご紹介しておくと、PCを送る際にはヤマト運輸さんの「パソコン宅急便」を利用すると、配送中にPCが壊れるリスクが減って安心です。
私たちが在宅勤務に移行する際には、諸々の都合によりこのサービスは使えなかったのですが、それ以降、新人さんのPCを配送するときにはこのサービスを利用しています。

在宅勤務開始

さあ、在宅勤務の始まりです。幸いなことに、配送されたPCが壊れて動かない等の事故は起きず、全員が無事に仕事を開始できたと記憶してます。

仕事全般に関して言えば、出社勤務しているときから、ほとんどの作業はオンライン上で行っていたので、在宅勤務になったことで大きくやり方が変わったり困ることはありませんでした。GithubやSVNなどで開発やリソース管理をし、スプレッドシートやその他ツールでタスク管理をし、相談や連絡はSlackで行う(口頭でする場合もありますが)といった感じです。

また、一部の重要なツールやサイトはIP制限で保護されているため、そういったものにアクセスする際にはVPNを使用して対応しました。VPNの仕組み自体は以前から用意されていたため、このあたりもあまり支障はありませんでした。ただ、以前はVPNを使うのは一部のスタッフ(出張時や緊急トラブル時に社外からアクセスする必要がある等)であったため、第1事業部のほぼ全スタッフが迅速にVPNを使えるようになったのは、インフラチームの尽力によるものでした。

運用ポリシー

在宅勤務を実施するにあたり、世の管理者たちを悩ませたのが「リモートでスタッフをどう管理するのか」だと思います。ご多分に漏れず、私たちも悩みました。
取り上げられがちな勤怠管理を例に挙げると、業務時間中にスタッフが本当に仕事をしてるかどうかが分からないということです。

ここに関して第1事業部では「スタッフを信用する」というポリシーにしました。
大事なのは、スケジュール通りにタスクがこなされることであって、その他の管理に力を割くことは不毛だと考えたためです。

こういったポリシーにしたのには、スタッフに余計なストレスをかけたくないという理由もありました。出社勤務と比べて在宅勤務のほうがストレスが低くなると考えがちですが、一概にそうとは言えません。
例えば、お子さんの居るご家庭では、お子さんの猛攻をかわしつつ仕事をするのは一種のストレスとなり得るでしょう。
ほかにも、自宅に仕事をするのに適した環境がないというケースもあると思います。急に仕事用のデスクトップを配送されて、デスク等には置き場所がないので仕方なくキッチンにPCを設置して仕事をしてるスタッフも実際居ます。

さらに当時は、コロナの影響で、家の外で楽しむ娯楽のほとんどが無くなってしまってました。なので、平日も休みの日もひたすら家にこもり続ける状況が続いており、これも多くの人にとってストレスになったと思います。
こういった状況下で、管理のために細かいことに目を光らせて色々と注文を付けるのは、スタッフの精神衛生上良くないと考えたのです。

現在までのところ、この運用法で問題は起きておらず、今も同様のポリシーを継続しています。

出社勤務への移行

2021年11月1日より、第1事業部は一部メンバーを出社勤務へと切り替えることになりました。理由は、コロナが落ち着いてきたことと、出社をして仕事をすることのメリットもあると考えたためです。

出社勤務と在宅勤務のハイブリッド

ネット上でも、「出社か在宅か」といった議論が盛んに行われていますが、どちらにもメリット/デメリットがあるため、一概にどちらが良いというものではないと考えています。
なるべく両方の良いとこ取りをして、上手く活用したいところです。

そのため、第1事業部では、出社勤務へと切り替えるにあたり暫定的に「5営業日の内、4日出社 1日在宅」というハイブリッドルールにしました。
どうするのがベストであるかはまだ模索中であり、コロナの状況や世の中の趨勢を見ながら、ルールは変えていきたいと思っています。

会社と自宅の両方にPCを用意

第1事業部が出社するにあたり、ひとつ絶対に譲れないことがありました。それは、会社と自宅の両方に仕事ができる環境を整えることです。

上記「PCの配送」で書いた通り、PCの配送をすると、2日ほど仕事が止まります。なので、出社勤務するために自宅のPCを会社に送っても仕事が止まりますし、その後にもしコロナの状況が悪化して、また自宅にPCを送るとなると、さらに仕事が止まります。これは、タイミング次第では致命的なロスになりかねません。

そういったリスクを避けるため、会社と自宅の両方にPCを用意することにしました。それによって、上述の出社勤務と在宅勤務のハイブリッドを実現することもできたのです。

再度、在宅勤務へ移行~現在

2022年1月初旬、コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るったことを受けて、第1事業部は再度全員在宅勤務に切り替えました。
自宅にもPCを用意してあったため、「在宅に切り替えたほうが良い」という判断をした翌日から、スムーズに在宅勤務へと移行することができました。こういったリスクを想定して備えていたのが功を奏しました。

この先、オミクロン株の感染が収まったあとも、いつ変異株が出てきて感染が広がるか分からない世界になってしまったので、当面の間はいつでも在宅に移行できる準備は必要だと感じています。

2022年2月21日(月)現在、第1事業部は在宅勤務を継続しています。約2年に渡って在宅勤務を継続してきたノウハウがあるので、特に問題なく業務を行えています。

第2部:在宅勤務における課題と工夫/メリット

上述の通り、在宅勤務を開始して、致命的となるような大きな問題はなかったものの、時間の経過とともに段々と課題も浮き彫りになってきました。以下で課題それに対する工夫を挙げていきます。

在宅勤務における課題と工夫

課題:コミュニケーションに時間がかかる

在宅勤務の課題として真っ先に挙がるのがこれだと思います。出社勤務時には、隣の人に話しかければすぐに済んだものを、いちいちSlackに文字を打たなければなりません。しかも、文字だけだと温度感やニュアンスを伝えるのが難しく、文章を作るのにも時間がかかりがちです。

工夫:Google Meet(オンライン会議)を気軽に使う

ちょっとした相談にもMeetを使うようチームに呼びかけ、積極的にGoogle Meet(以下 Meet)を使うようにしました。

Aimingでは、出社勤務の頃から遠方の会社様との打ち合わせ等にはMeetを使っていました。なので、在宅勤務に移行してからも会議にはMeetを使っていましたし、みんなMeetは使い慣れてました。しかし、そのせいで「Meetは会議で使うもの」という先入観があり、あまり気軽に使う風潮が無かったのだと思います。そこで、先入観を捨ててもっと気軽に使うよう意識を変えたわけです。

Meetなら、口頭で会話もできますし、画面共有機能を使えば複数人で同じ資料を見ながら話すこともできます。隣の人に話しかけるのよりは、ひと手間かかるのは否めませんが、それでも「今Meetできますか?」「ちょっとMeetで話せます?」と、気軽に言えるようになったことで、コミュニケーションの問題は大幅に改善できたと思います。

また、Meetで話したことはちゃんとメモしてSlackにログを残すようにしています。

2021年後半には、Slackが新たに「ハドル」という機能を導入したため、Meetの代わりにそちらを使うケースも増えました。

課題:コミュニケーション不足

上記の課題と重複していると感じられるかもしれませんが、あえて別物として扱います。これは、雑談等も含めた、ある意味では業務上不必要なコミュニケーションが不足してしまうことと言って良いかもしれません。
上述の通り、仕事上の相談があれば気軽にMeetで話せるようにはなりました。その際に雑談も交えながら話もするでしょう。

これは裏を返せば、仕事上で直接相談が必要無いスタッフとは、あまりMeetをすることも無いということです。「雑談したいんでMeetしましょう」と言ってMeetをすれば良いのかもしれませんが、普段あまりMeetで話してない人同士で、それはなかなかハードルが高いでしょう。チームに新しく入ったばかりのスタッフにとっては、そのハードルはより高くなります。

「そもそも雑談等のコミュニケーションが必要なのか?」という議論はあると思います。短期的にはそれらが無くても仕事が回るという意味で「ある意味では不必要」と上述しましたが、長期的には必要だと感じています。世の中がデジタル化してきて、仕事の仕方も変わってきているとは言え、人間の中身はそれほど変わってないでしょう。ちょっとしたことで感情が左右され、モチベーションが上下する、そんな生き物です。なので、複数の人間が集まって有機的な連携をするためには、お互いの人となりを知っていたり、気軽に雑談ができる仲であることには意味があると考えます。

工夫:雑談部屋の常設

雑談部屋というMeetを常設し、スタッフはそこに自由に出入りして、なんならずっと会話をしながら仕事をするという手法を取り入れました。常設Meetによって、会社で仕事をしてる状況を再現しようという試みですね。これは良い効果を生んだと思います。

工夫:オンライン飲みの開催

オンライン飲みは、今更説明の必要もないかもしれませんが、複数人がビデオチャットツールで繋がって、自宅でお酒を飲みながら会話を楽しむ飲み会です。なんせコロナの影響で、普通の飲み屋さんに行くことができないので、そんな状況下でもなんとか飲み会をしようという人類の底力ですね。

「飲みゅニケーションなど不要!」という声がネット上では散見される昨今ではございますが、飲食しながら人と話して親睦を深めるという手段は、今なお一定の効果があると思います。こういった場で、「あの人は、普段こういうことを意識して仕事をしてるんだ」とか「この人は、チャットでは無愛想だけど、話すと陽気な人なんだ」といったことが分かるだけで、業務上の気付きを得られたり、業務時のSlackでのコミュニケーションがしやすくなったり、仕事に好影響はあると思います。

第1事業部では、プロジェクト単位でやったり、プロジェクトが大規模な場合には職種ごとに分けてやったりしました。こういったものが嫌いなかたに参加を強制したりはしませんので、そこはご安心ください。

このオンライン飲みも、やってみると課題が見つかったりするもので、それを以下でご紹介します。

オンライン飲みの課題:話し手が限られてしまう

オンライン会議をしたことがあるかたは分かると思いますが、会議中、話し手は常に1人になります。複数の人間が同時に話すと、声が混ざってしまって誰が何を言ってるのか分からなくなるからです。実際に会議をしている場合、話し手が1人になることは問題になりません。オンライン/オフラインに関わらず、通常、会議中に誰かが発言しているときは、他の人は最後までそれを聴き、発言者が話し終わってから別の人間が発言するためです。

しかし、これが飲み会となると少し事情が変わってきます。例えば20人といった規模で飲み会をする場合、実店舗でのオフライン飲みであれば、大抵は4~5人ずつくらいの小グループが複数発生し、各々が自分の周囲の人と話すことで、複数人が同時に話すことになりワイワイガヤガヤします。

ところが、オンライン飲みではそれができません。1人が話しているときに、残りの19人は聞き手に回らなければならず、1対19のコミュニケーションが延々続いてしまうのです。なので、話し手になる人数が限られてしまうという問題が発生します。

さらに、19人に対して発言をするのは、飲み会での雑談というより、ちょっとしたスピーチや講演でもしてるようで、少しハードルが高いです。そのため、話し慣れてる2~3人が延々と話すのを、その他大勢が延々と聴くという状況になりがちです。もちろん、話し手がなるべく多くの人に話題を振るといったテクニックで多少緩和できますが、やはり限界があります。

工夫:ブレイクアウトセッションで小グループに分ける

Meetのブレイクアウトセッションという機能を使うと、参加者を、いくつかの小グループに分けることができます。この機能によって、4~5人ずつのグループを作ることで、話し手も増えて活発なコミュニケーションができるようになります。また、一定時間が経過した際に、メンバーの入れ替えをすることで、通常の飲み会における席替えのようなことも実現できます。

課題:生活用品の補給が大変

これは実際に在宅勤務を継続して切実に感じたことなのですが、在宅勤務をしていると日用品の消費が激しくなります。なんせずっと家に居ますから。
中でも問題になるのが食料品です。コロナの影響で外食しづらい状況だったので、毎食を家で食べることなり、そうなると結構な消費量になります。健康や節約のために自炊をしようものなら、コンスタントに生鮮食品を買う必要があり、土日(会社が休みの日)に1週間分の食料を買い込むという生活スタイルでは無理が生じてきます。

さらには、2020年4月には緊急事態宣言が出て、スーパーが20時に閉まるようになり、平日に食料品を買うのが難しい状況になってしまいました。会社としては19時が定時なので、20時閉店でも行けないことはないのですが、定時で仕事を終えてから着替えてダッシュして、閉店間際のスーパーで売れ残ったわずかな食材を買うというのも少々厳しいものがあります。

工夫:買い出しキャンペーン

「週に1~2日の頻度で、1時間程度の買い出しの時間を取ることを推奨する」というキャンペーンを実施しました。多くの場合、お昼休みの1時間に買い出しの1時間をくっつけて、合計2時間の休みを取るという形で活用されています。

このキャンペーンは、日用品の補給をしてもらうのが主な目的ではあるのですが、明るい時間帯に外に出て日の光を浴びてもらいたいという狙いもありました。当時は本当に先行き不透明で、この先世界はどうなってしまうのかという不安が広がってました。そんな中、在宅勤務で家の中にこもりっぱなしでは気が滅入りやすいと思ったため、昼に買い出しをして気分転換をしてもらおうと考えたわけです。

スタッフの余計なストレスを少しでも減らすことができればという思いから実施しました。
そういった理由もあったため、スーパーが深夜まで営業するようになってからも、このキャンペーンは継続しており現在も実施中です。(※)
(※在宅勤務の状況次第で、内容が変更になる場合があります)

課題:スタッフの勤怠が把握しづらい

在宅になると、「あるスタッフが現在勤務状態なのか」を把握することが難しくなります。もう少し噛み砕いて言うと、そのスタッフが今日は出勤なのか、あるいはお休みなのか、遅刻してるのか、早退したのかといった情報が分かりづらいということです。

出社勤務時であれば、例えば、始業時刻にそのスタッフが自席に居ないのであれば、遅刻か休みだということは分かります。ところが、在宅勤務だとお互いの状況が目では見えないので、始業時刻にPC前に居るかが分かりません。居ないことに気づけないのです。
そういった情報をSlack等で共有したとしても、それをすべて把握しておくのも困難ですし、寝坊や体調不良で倒れているといった場合にはその連絡も来ないので一切把握ができなくなります。

これは、管理者がスタッフの勤怠を管理できなくて困るという面もありますが、スタッフ同士が仕事をする上で困るという面もあります。
ゲーム開発はチームで行うものなので、お互いの状況が見えなかったり、Slackで連絡をしても一切反応が無くその理由も分からないといったことが続くと、やはり仕事に支障をきたします。

工夫:いま勤シートの導入

スプレッドシートで、「いま勤シート」なるものを作成しました。
これは、「いま自分が勤務状態であるかどうかを共有するためのシート」、略していま勤シートです。
「いま」をあえてひらがなにすることで、親しみが持てるようになっています。なってませんかね。

このシートは大きく分けて、下記2つのシートからできてます。

入力シート

縦方向にプロジェクトメンバー全員の名前が職種別に記載されており、横方向はカレンダーになってます。
スタッフは、勤務開始時に、自分の名前行かつ当日列のセルを「出宅」(※)にします。
退勤時には「退宅」(※)、休みであれば前もって「休み」にします。こういったステータスは選択式になってます。
前もって予定が決まっているときには、コメントやメモで「遅刻or早退 とその理由」等を記入します。

※在宅勤務で出勤することを「出宅」、退勤することを「退宅」と呼んでいます。会社での出退勤を意味する「出社」「退社」と区別するための造語です。

こうすることで、当日の始業時刻に、セルが「出宅」になっておらず、かつなんのメモもないスタッフが居たら、そのスタッフは業務を開始してない可能性がある(単なるステータス変更忘れの可能性もある)ことが分かるわけです。そういったスタッフには、Slackで安否確認を行ったりして対応します。

この入力シートは、GAS(Google Apps Script)によって、常に一昨日以降の日付が表示されるようになっており、過去分が大量に表示されてスクロールが面倒といったことはないようになってます。

一覧シート

プロジェクトメンバー全員の名前が一画面に収まるよう、職種別にリスト化されています。
サンプル用に作ったものなので、人数が少なくわざわざ一覧シートを作る必要が無いように見えますが、プロジェクトの規模が大きくなるとこの一覧シートが活きてきます。
入力シートで入力されたステータスに応じて、各スタッフの名前のセル色が変わります。(こちらもGASで動いてます)
「出勤」だったら緑、「休み」だったら灰色、といった感じです。

これにより、この一覧シートを見ると、いま誰が勤務状態にあるのかが一覧できるようになってます。

上述の「スタッフを信用する」運用ポリシーと相反するように感じられるかたもいらっしゃるかもしれませんが、やはりチームで開発の仕事を行う以上、勤務状態であるかどうかを共有し合うことは最低限すべきだろうという思いで導入しました。
また、コロナ禍という状況であり、家で倒れて連絡ができないといったケースも考えられたため、スタッフが居ない(勤務できない)ことに気付ける仕組みが必要だという思いもありました。

いま勤シートのおかげで、コロナ禍前の出社勤務時よりも勤怠は把握しやすくなったと感じています。
一方で、いま勤シートへの入力が手間だと感じているスタッフも居ることは想像に難くなく、もう少し効率化をしたいと模索しています。

課題:ネット関連の小ネタ

在宅勤務をするにあたり、「そもそも自宅にネット回線がありません」なんてことがあったり、いくつか見落としがちな盲点があったので、簡単にご紹介。

工夫:会社のモバイルWi-Fiを使用する

自宅にネット回線がない場合には、会社で契約しているモバイルWi-Fiを貸与することで対応しました。
ただ、台数に限りがあるので注意が必要です。

また、自宅のネット回線からだとVPNがつながらないケースがあり、インフラチームで可能なものは対応しましたが、解決できない場合にはやはりモバイルWi-Fiを貸与することで対応しました。

工夫:USBの無線LANアダプタを使用する

自宅にデスクトップPCを設置したものの、有線LANを繋げられないケースがありました。ルーターが別部屋にあってLANケーブルを引っ張ってくるのが困難、家のレイアウト的に厳しい、といった理由からです。
そういったスタッフには、PCと一緒にUSBの無線LANアダプタを配送しました。これを挿せば、デスクトップでもWi-Fiを利用できます。

在宅勤務のメリット

せっかくなので、在宅勤務のメリットも大きなところをいくつか挙げてみます。

通勤時間が無い

在宅勤務のメリットとして真っ先に挙がるのがこれでしょう。人によって通勤にかかる時間はまちまちですが、往復にかかる30分~2時間超の時間を別のことに使えるのは効率的です。
その時間を睡眠や家事等に使うことで、生活の質がぐっと上がる感じはします。

ただ、私個人の話をしますと、通勤時間に本を読むのが習慣であったため、在宅勤務になったことで本を読む時間が無くなってしまいました。じゃあ通勤が無くなった分の時間を読書に充てれば良いじゃないかと言われるとその通りなんですが、そう簡単にいかないのが人間というものです。「歯磨きの前を読書タイムにする」など、生活の中に区切りを設けて行動を律する工夫が必要です。

すぐに会議ができる

社内会議も他社様との会議も、今までより気軽にできるようになりました。
理由を以下に挙げます。

会議室が要らない

出社勤務時には、会議をするためには会議室が必要で、会議室を予約する必要がありました。そして、いざ予約を取ろうと思っても「この時間帯は埋まっちゃってる」とか「空いてる会議室はあるけど、この人数は入りきれない」といったことが起きがちで、やりたいときに会議ができないことがありました。

しかし、オンラインの会議の場合は会議室が必要ありません。お互いのスケジュールさえ空いていれば「じゃあ、今から会議しましょう」といった感じで気軽に会議ができます。
このスピード感はオンラインならではです。

また、物理的な会議室が要らないことにより、大人数での会議も容易になります。あるプロジェクトでは、毎週10分程度、約100人を集めて全体朝会をしてます。これのおかげで、プロジェクト全体の情報共有が効率的になりました。弊社には100人が入れる会議室が無かったこともあり、コロナ禍前には、大規模なプロジェクトで全体朝会をする発想自体が無かったのですが、Meetによって意識改革が起きたと言えます。

在宅勤務のメリットからはそれてしまいますが、Meetによる大規模会議は、今後出社勤務に切り替わったとしても継続して実施する想定です。各スタッフは自席からMeetで参加するスタイルです。それが可能なように、スタッフ全員にヘッドセットも用意しました。
訪問/来社をしなくていい

出社勤務時には、他社様との会議の際には、こちらから訪問するか先方に来社いただくのが普通でした。上述の会議室の問題や移動時間の問題などもあり、他社様との会議はセッティング自体に時間がかかりがちで、会議が実施できるのが数日後になるといったことがしょっちゅうでした。

こちらも、オンラインであれば「5分後から会議をお願いできますか」「大丈夫です」という具合に、他社様ともスピーディに会議ができるようになりました。
これは地味に大きな変化だと感じています。

情報が共有されやすい

Meetを多用するようになったとは言っても、やはり出社勤務時と比較するとSlack上でのやり取りは増えます。そのおかげで、より情報共有がされるようになったというメリットはあったと思っています。
出社勤務時には、なんとなく周囲の人たちと口頭で話して進めてしまっていたものが、在宅勤務時にはSlackのログに残るようになったためです。
上述の「コミュニケーションに時間がかかる」とトレードオフのような話ですね。

最後に

第1事業部の在宅勤務に関するアレコレを書かせていただきました。いかがだったでしょうか。ひとつでも役に立つ情報があったなら幸いです。
今回の記事で書ききれなかったものもあると思いますので、機会があればまた書きたいと思います。

第1事業部では、感染の状況を見て早々に在宅勤務へと切り替えたこともあり、今のところ第1事業部内にコロナウイルス感染者は出ていません。

コロナをきっかけに、日本でも働き方が大きく変わりました。まだコロナが完全収束したわけではありませんし、今後もいろいろな変化を迫られることと思いますが、今後も、スタッフを感染から守りながら、なるべく低ストレスで効率の良い働き方を模索していきたいと考えています。

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