真のアクティブユーザーを探して

真のアクティブユーザーを探して

第1事業部でプロデューサーをしている小田です。運営中の『戦国大河』と、最近発表された『銀河英雄伝説 Die Neue Saga』の担当をしています。

弊社運営マネージャーの中根さんが以前、運営でSQL学んだ話を記事にしていますが、この勉強会の講師をしたのは私です。
非エンジニアでもSQLが扱えると便利だよね、という取り組みの話

新人研修でデータ分析の講義も担当しています。
中根さんの記事を見ていただいて、実際どういう数字をどう分析してるの?と思われた方もいるでしょう。今回はその辺りを少し踏み込んで書いてみようと思います。数字全体を話すときりが無いので、今回はアクティブユーザーという数字に的を絞ってお話ししたいと思います。

アクティブユーザーってなに?

AUと略したりします。DAUとかMAUとか言ってみたりもします。要は、ゲームにログインしたユーザーの数ということになります。Dはデイリーで、Mはマンスリーの略で、単位が日だったり月だったりするということです。
私としては、このアクティブユーザーがオンラインゲームにおいて最も重要なKPI(日本語では重要業績評価指標。調べてみて下さい。)だと思っています。プレイしてくれるユーザーがいないとゲームは成り立ちませんから。そこで、アクティブユーザーをどう測っていくかと言うのがゲームを運営する上で、大切なことだと思っています。
単に、ログインしたユーザーを調べてその推移を見ていけばいいのでは?というふうに思われるかもしれませんが、その見方だと困ることが少々あります。

アクティブユーザーを見ていく時、重要な点は以下だと思っています。
①定着しつつあるアクティブなユーザーがどのくらいいるのか(不正なユーザーも省きたい)
②①のユーザーの推移をリアルタイムで観測したい
というところです。
まず、①についてお話します。例えば、1年間ゲームを続けてくれているユーザーと今日ゲームを始めてくれたユーザーがそれぞれいたとして、明日もログインしてくれる可能性が高いのはどちらでしょうか?ということです。これは感覚的に、前者だよねと分かっていただけると思います。数字上は同じ1に見えるアクティブユーザーでも、定着度合いを加味すると同じ数字ではないのです。
例として、あるゲームの4月1日~4月10日のアクティブユーザーのデータをでっち上げてみます。(この数字は、例として作ったものとなります。)

これを見て、どう思われるでしょうか?
・4/3はとても大きく上昇している
・全体的には右肩上がりになっている
といったところでしょうか。

その通りなのですが、これに一つ別の数字を加えて観察してみましょう。

新規登録ユーザー(その日に新しくゲームを始めたユーザー)を加えてみました。こうすると、新規登録ユーザーが多い日はアクティブユーザーも上昇しており、そうでない日は少なくなっていると見えますね。上記しましたが、その日初めてゲームにログインしたユーザーと長く継続しているユーザーでは定着率が大きく違います。アクティブユーザーだけのグラフを見ていたときは、右肩上がりのような気もしましたが、定着しているユーザーと考えると、自信がなくなってきました。アクティブユーザー数を素直に見ただけでは、新規登録による影響が大きすぎるため、定着しつつあるアクティブユーザーを知ることができないのです。そこで、一工夫を入れる必要があります。

RAU、FQnという考え方

ここで、アクティブユーザーの見方として、RAUとFQnという概念をご紹介します。RAUは一般的なものではなくAiming社内でのみ使われている指標となります。簡単に説明しますと
・RAU:アクティブユーザーから新規登録ユーザーを引いたもの(RはReal=リアルの略です)
・FQn:n日連続ログインしたユーザー(FQはFrequency=頻度の略です)
という定義となります。どちらも当日の新規登録ユーザーの数字を含めず、定着しつつあるユーザーを見るという考え方です。

では、今までのデータにRAUを加えたデータを見てみましょう。

RAUのグラフを見てみると右肩上がりであることが見えてくると思います。逆に4/3の数字はそこまで大きく定着ユーザーが増えていたわけではないのかもしれません。新規登録ユーザーを除くことによって実態が少しずつ見えてきたということです。
しかし、新規登録ユーザーだけを除いただけでは、少し心もとなく思えてしまいます。1日前に登録して今日ログインしてくれたからと言って、明日ログインしてくれるでしょうか?(考え始めるときりがない問題なのですが……)

そこで、RAUよりももう少し定着しているユーザーを測りたいという考えで使うのが、FQnのデータとなります。オンラインゲームの業界ではFQ5という5日連続ログインユーザーという指標がよく使われます。早速、このグラフにFQ5のデータを加えてみてみましょう。

RAUに比べるとだいぶなだらかなグラフになりました。しかし、数字を見てみると確かに右肩上がりで推移していることがわかります。定着しつつあるユーザーが増えていると言って良いのではないでしょうか。
少し注意してみてみると、最後の4/9から4/10にかけての数値の伸び率が、他の日に比べて高くなっています。4/5辺りで獲得したユーザーの定着率が高かったのかもしれません。
しかし、このFQ5というデータも少し欠点があります。それは、新規登録したユーザーの定着度合いがわかるのが、5日後以降であるということです。
②①のユーザーの推移をリアルタイムで観測したい
このポイントをクリアできないのです。可能ならば翌日段階で、定着しそうな新規登録ユーザーを含めてアクティブユーザーを出したい!と切望してしまうわけです。

真のアクティブユーザーを探して

ここから先は一般的化が難しい話です。というのは、ゲームによって数字の出し方が全く変わってしまうからです。
私たちは、定着しそうなユーザーを可能な限り早く知りたいのです。となると逆の考えをしてみるという手があります。定着したユーザーは何をしていたのかを調べるという方法です。
例えば
・初日にユーザーレベル5までレベルを上げていた
・初日にキャラクターを20体以上持っていた
・初日にステージ15までクリアしていた
と言った具合です。初日に限定して考えているのは、翌日には結果が知れるデータにしたいからです。定着しているユーザーの殆どが、初日にある行動をしているとしたら、その行動は継続の契機となると考えられます。逆に言うと、その行動をしているユーザーは新規登録ユーザーであっても、定着しつつあるユーザーと考えていいのではないでしょうか?
こういった法則性はゲーム自体の仕様が大きく関わってきます。そこに到達するのに必要な時間や報酬などが大きく関連してくるからです。これらを加味して、おそらくここに継続契機となるポイントがあるだろうと予想をし、実際に定着してくれているユーザーの行動と見比べていくわけです。
そして見つかったそのポイントを超えたユーザーを真のアクティブユーザーと定義して、日々観測し続けることによって、プロモーションやキャンペーンの効果を測っていくということです。

オンラインゲームの業界だけでなく、いろんな業界や会社でこういった考えはなされていると思います。今日は一つの例として、アクティブユーザーについての基本的な考えをご紹介しました。
ここから発展して、アクティブユーザーの中でゲームをやめてしまいそうなユーザーの行動を調べたり、そういうユーザーに続けてもらうにはどういう手段が考えられるかを検討したりして、日々ゲームの運営をしています。

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