キャラクターを例にしたデザインのつくり方

キャラクターを例にしたデザインのつくり方

はじめまして、第一事業部2Dデザイナーのyonezawaです。
現在、業務では主に既存IPのキャラクターイラストの作成を担当しています。
今回は下のキャラクターを例に、デザインのつくりかたについて、自分なりの考え方や工程についてご紹介します。
こちらはブログ用に描いたオリジナルキャラクターの絵になりますが、業務では絵柄寄せメインで描いているため新鮮ですね。

ターゲット層を決める

デザインの狙いを定める

多くの共感を得るために、まず最初にターゲットを明確にしてから、狙いを定めてデザインの方向性を導き出していきます。
今回は商品としての絵ではありませんが、デザインがブレない様に諸々大まかに決めておきました。
ターゲット層は訴求力を意識して、下記の想定にしました。

■最近流行しているソーシャルゲームをプレイしている方
■年齢は10代後半~30代後半あたり

そのため絵柄は、デフォルメでありつつ、質感はリアルが混ざっている感じで行こうかなと計画しました。

界観設定

キャラクターの前に世界観を設定する

世界観はキャラクターの性格や言動、服装など、あらゆる要素に大きく影響する事が想定され、とても重要です。
キャラクターデザインといっても説得力を持たせるためには

■世界観設定→ストーリーの大筋→キャラクター設定→ストーリーの細部→キャラクターデザイン

といった流れが個人的に良いと思っています。

とはいえ今回は、ブログ用のキャラクターである事、デザイン(視覚的)の作り方を中心にした記事である事から、各設定はとてもざっくりの状態になります。
設定や話を作り込んでしまうと違和感や矛盾が出てきてしまい、辻褄合わせや情報収集が必要になってくるため、その時間を省略したいという気持ちもあります。
この辺りはシナリオや企画をテーマにした解説の方が参考になると思いますので、そちらをご覧頂けますと幸いです。

時代や流行を意識する

さて世界観ですが、先ほど決めたターゲット層に合わせて流行りの『サイバーパンク』を想定しました。
メカやネオン街がでてきたり近未来的な雰囲気の世界になります。
(少し治安が悪そうな感じだと、戦闘シーンなども出てきてカッコ良さそうだな等と思いつつ…)
デジタル化が進みAIや仮想現実が身近なものになった令和の時代では、関心が高そうなテイストだと思います。

キャラクター設定

普段描かないので、練習を兼ねて可愛い女の子を描いてみようと思いました。
また、ゲームユーザーの多くが男性とのデータがあるようなので、人気を考えるとやはり可愛い女の子が王道かな等と思いつつ。

■ストーリーの軸となる世界を牛耳っている権力者の娘、門限など厳しい家庭環境の為、外の世界をあまり知らない
■好奇心旺盛でちょっぴり反抗やイタズラなんかもしたい、そんなお年頃(13歳くらい)
■隙を見つけて家を抜け出し、外でおさんぽ
■秘密裏に作らせた特注の護身メカを身にまとっている
■普段甘やかされているので泣き虫
■衣装はロリータ

世界観と合わせてキャラクターもざっくり設定を作ってみました。
感情移入の点から主人公は平凡寄りな雰囲気が好まれそうな気がしますが、デザインの解説的に面白みにかけそうかなと思い、個性強めのサブキャラポジションの想定になります。
ここには載せられていないのですが、イメージに近い参考画像を沢山収集して、キャラクターのイメージを膨らませていきます。

W1Hの把握とメモ

『ゴール』を可視化して迷走を防止する

諸々の設定を決めましたが、すぐに絵を描き始めてしまうと、デザインがコンセプトから離れてしまったり、自分の好みに偏ってしまったり、あれもこれもと要素を複数盛り込んで迷走をしてしまったり…と、スムーズに作業を進め難い印象があります。
そのため、ゴールへのヒントを文字で可視化しておきます。
5W1Hの視点から、企画に合ったデザインを起こしやすくする為のヒントをまとめておきます。
5W1Hとは、下記を略した言葉になります。

■いつ(When)
■どこで(Where)
■誰が(Who)
■何を(What)
■なぜ(Why)
■どのように(How)

こちらを把握しておくことで、企画に合ったデザインを作りやすくなります。

今回の場合で応用する

今回の場合で当てはめてみます。

■いつ(When)→普段、昼夜問わず
■どこで(Where)→サイバーパンクな世界、やや治安が悪い、メカが沢山ある
■誰が(Who)→女の子、年齢は13歳くらい、権力者の娘、普段甘やかされているので泣き虫、衣装はロリータ
■何を(What)→おさんぽする
■なぜ(Why)→好奇心が強いので楽しそうな物を探しに
■どのように(How)→親に隠れてこっそり、治安が悪いので護身しながら、色々厄介なので顔は見られたくない正体不明

情報を補足するなどして、こちらもざっくり書き出してみました。

アイデアの関連ワードのメモ

『らしさ』も可視化して迷走を防止する

こちらは、5W1Hとは少し違い、自由に『それっぽい』と思って頂きやすくなりそうなヒントを色々と書き出してみます。
モチーフや、配色、シルエット等、取り入れるとそれっぽくなりそうだなと思う要素を、文字で可視化しておきます。

■サイバーパンク→メカ・重厚・ベルト・ファスナー・メッシュ(髪色)・ネオン街・夜・治安が悪そう・高彩度・ピンク・水色・黒・光沢素材(革・ビニール・エナメル系)の衣装
■ロリータ→少女・可愛い・ぴんく・フリル・リボン・スカート・うさぎ・丸いフォルム・デフォルメ・ツインテール

ラフを描いてデザインを固めていく

デザインの検証

これまでの工程を踏まえて、ラフを描きながら検証を繰り返してデザインを固めていきます。

ポーズ

ポーズですが、作画時間短縮+3Dモデル作成を想定して構造が分かりやすいものにしたかったので、単純なAポーズにしました。
素体や顔は早い段階でしっかり目に描いて、似合いそうな衣装を検証しました。

質感

近未来感を出すために、衣装に光沢素材を入れることができないか検証しました(結果)。
スムーズに3Dモデルの作成が行える様にする為にも、質感も考慮してデザインを固めていけると良いですね。

構造

動きを落書きしてみて、ギミックの干渉や構造も検証してみたり。

視覚に訴える説得力を強化する

また、そのキャラクターにしか通用しない要素を組み込んで、視覚に訴える説得力を強化していきます。
『デザイン画=企画や設定を絵に変換する作業』という認識です。
説明なく絵を見た瞬間に、それが何であるかが見る側に伝わるデザインにする必要があります。

■権力者の娘なので、エリザベスカラー+ドレスっぽいシルエットのジャケットで裕福そうな感じ
■護身用のメカの腕を装備したい
■正体を知られたくないので顔を隠したい、メカの腕を付けたいけどヘルメットで頭もメカっぽくするのはどうだろう
■サイバーパンクなのでネオン要素を入れたい、補色の水色にしてみたら合いそう
■泣き虫なので、下がり眉+たれ目+小さな口でそれっぽくなりそう
■髪は綺麗に整えて上品な印象がいいかも、メッシュでサイバーパンク感を入れてみよう
■上品といえば、歩くときにヒールのコツコツ音を出したいかも(ちょっと偉そうな感じも出せそう)、腕に合わせて靴もメカがいいかも
などなど…

清書

デザインが固まったら清書をしていきます。

素体

まず最初に素体を仕上げました。
隠れる部分も描いておくことで、デザインの構造の破綻を防ぐことができます。
また、上に重なる衣装の調整も行いやすくなります。
しっかり目に描いてしまいましたが、隠れる部分は多くの場合もっとざっくり描く感じで大丈夫です。

衣装

次に衣装を仕上げました。
メカなしのこの状態も良く登場するイメージです。

衣装の生地ですが、黒は綿でマット、ピンクはエナメルで光沢素材の想定です。
全ての布をマットな素材にしてしまうと現代的な普通のロリータっぽい印象になってしまうと思い、ジャケットを光沢素材にして近未来感を混ぜました。
ここでは載せることができませんが、質感指定で実物の参考画像を添付できると3Dモデル作成の際に分かりやすくて良いですね。

見えないのですがジャケット背面のお尻付近にうさぎの尻尾がついている想定だったりします。
RPGの場合ユーザーはプレイ中、キャラの背面を見ることが多い様に思うので、走るときにしっぽがふりふりしていると可愛くて癒しになるのでは?などと思いつつ。
ツインテールもぴょこぴょこ動くと可愛いだろうなとも。

メカ

最後にメカを仕上げました。
各所、同じボルトを組み込んだり、シルエットを丸くしたりなど、共通点を持たせてデザインに統一感をだしました。
ターゲット層、世界観設定、キャラクター設定、諸々の企画に合ったデザインにできた様に思います。

おまけ(性格や雰囲気)

 キャラクター設定を見ながらこんなシーンが有りそうかなと、ざっくり浮かんだアイデアも描いてみました。

↓初めて夜の街に来た時、サイバーパンクなネオン街にわくわくする女の子。
試しにチラッと下見に来た感じのイメージです。
表情と背景を見せたかったのでメカは無しにしました。大体の雰囲気が伝わればと思います。
街ですが大通りは賑やかな繁華街だけど、脇道に入ると薄暗く落書きやステッカーが沢山有って少々怖そうな感じを想定しています。

↓主人公との出会い、暇つぶしに喧嘩を売るが負けて大泣きして退散する。

権力者の娘で偉そうな衣装ですし、プライド高めのツンデレっぽい性格でしょうか。
視覚的な可愛さを中心に考えたキャラクターですが、ツンデレ女子が好きな方には性格的にも可愛いと思って頂けるかもしれません。

まとめ

個人的にデザインを行うときに大切なのは、最初にゴールを明確にして何のためのデザインなのかを意識しながら描く事だと思っています。
自分の好きなように絵を描く事はとても楽しく素敵ではありますが、
業務では、企画、〆切や売り上げ等が関係し、期限内に狙い通りのものづくりを行う必要があるため、業務としての絵を描くスキルが別途必要になってきます。
日々学びが多いです。

余談ですが、ぴんくには癒しの効果があるようで、いつも身の回りに置いています。
色の効果等も知識が有れば、生活に取り入れて気分転換をしたり、デザインに取り入れて意図に沿った説得力をプラスしたりできますが、楽しいですね。

参考書

デザインは一から独学のため、色々な本を読んで自分で学習をしてきたのですが、その中でも、特に良書だと感じたお勧めの書籍をいくつかご紹介させてください。
初心者の方からデザインの考え方を学べます。
センスは知識から始まる
勝てるデザイン
ターゲットの心を掴む スタイルのあるブランディングデザイン
欲しくなるパッケージのデザインとブランディング

後に

Aimingに入社して強化したスキル

Aimingに入社したことで、強化されたと感じるスキルについてお話をしたいと思います。
何かスキルアップをしたいのであれば、そのスキルの高い方が多い環境に身を置くことが近道のように思いますが、Aimingで業務を行っている現在、『画力』や『行動力』が入社前よりも大きく強化できたように感じています。

画力

私がAimingに入社を決めた理由の一つに、『画力』を大きく向上出来そうだと感じたことがあります。
キャラバンストーリーズの画集や開発者ブログの記事オルガができるまでなどを見た際に、
デザイン画はもちろんですが、インタビューや解説に説得力があり内製がとても強そうだと思いました。
私はこれまでに幾つかのゲーム会社での業務経験があり、在籍当時ではありますが個人的に難易度の高いタスクは外部会社へ依頼している状況が多かった印象があります。
ですが、今現在私の所属している2Dデザイナーのチームではタスク量が多い場合を除き内製で完結しており、とても技術レベルが高い印象です。

行動力

何かを成し遂げたい時に技術的なスキルは勿論ですが、『行動力』もとても重要になってくるように思います。
行動を起こし挑戦しなければ、スタート地点にすら立つことができません。
今こちらをご覧頂いている方の中に、何か成し遂げたい目標がある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
Aimingでは、頻繁に勉強会や自己紹介(ライトニングトーク)を行っているため発表のチャンスが多く、また、優しい方が多く丁寧にご指導を頂けるので、未経験の分野でも挑戦しやすい環境のように思います。

副業で自分の好きな形でスキルを活かす

副業が許可されているので、磨いたスキルを自分の好きな形で楽しく発揮してみたり…ということも素敵ですね。

仲間を募集中です

もっと画力をあげたい、行動力を身に着けて目標を達成したいという方には、うってつけの環境だと思います。
気になった方は、是非一度ご応募ください。

 株式会社Aiming第1事業部では一緒にゲームを作る仲間を募集中です!!
中途採用 → 積極採用中です! あなたの経験をフルに活かしてください!
新卒採用 → 未経験者も含め、熱意あるみなさまを歓迎します!
詳しくは採用ページと事業部紹介ページをご覧ください!
■採用ページ
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■事業部紹介ページ
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