マップ制作未経験プランナーがunityで対戦アクションのマップを作った話

マップ制作未経験プランナーがunityで対戦アクションのマップを作った話

第1事業部でチーフプランナーをしている塚原です。
『かみながしじま ~輪廻の巫女~』(以下「かみながしじま」という)でマップのレベルデザインを担当しております。
今回はどういうコンセプトでどうやってマップ制作したのかを書かせていただこうと思います。

■経歴
・PCMMORPG運営:半年
・ローカライズ運営:2年
・スマホゲームプランナー:5年(現在進行形)

『かみながしじま』について

そもそも「かみながしじまってどんなゲームなの」というところを簡単に説明します。

ゲームの概要

3Dアクション要素のあるホラーテイストの非対称ゲームで、カミ1人・ヒト4人の陣営に分かれて戦います。
ヒト側は脱出を、カミ側はその脱出を阻止することを目的にしていて、脱出するにはマップにある結界を複数解除して出口を開放する必要があります。
マップにはカミ側の味方であるイノシシやオオカミといった動物が配置されており、それらに気付かれないように結界を解除しつつ、時には敵を引き付けたり倒したりしていくゲームになっています。

詳細が気になる方は下記の動画をご覧ください。
『かみながしじま 〜輪廻の巫女〜』プレイガイド<ヒト編>
『かみながしじま 〜輪廻の巫女〜』プレイガイド<カミ編>

マップ制作について

本題であるマップを制作した話に入ります。

マップの制作は下記のフローでおこないました。

マップ制作のフロー
1. マップのコンセプト決め
2. 資料化
3. データ作業
4. 調整作業と不具合修正

1. マップのコンセプト決め

まずはどういうマップにしていくかコンセプトを固めます。
そのためにゲームの特徴をみていきます。

<ゲームの特徴>
ヒト
・銃や刀で戦える
・ジャンプができる
・身を隠せる茂みがある
カミ
・動物に憑依して攻撃する
・ジャンプができない
・空を飛べる
動物
・ジャンプができない
・カラス以外は空を飛べない
※動物はカミの味方

ゲームの特徴を踏まえてコンセプトを考えます。
それをチームで確認して、下記のコンセプトに決まりました。

<コンセプト>
マップの大きさ
・1試合は10分(平均7~8分程度)にする
・カミが上空からヒトを探せるようにするが、簡単には見つけられないようにする
・島の一角として不自然に感じないような広さにする(約500m × 500m程度)
地形
・ある程度の方角がわかるように海辺から山に向かうマップにする
・1つの地形を使って複数のマップを用意するので、特徴的な地形は用意しない
・銃で戦えるため、ある程度敵を狙えるように起伏は激しくしない
オブジェクトの配置
・目的地のルートに分岐を用意する
・動物やカミから隠れながら進めるルートを用意する
・マップが広いので特徴的なオブジェクトを用意して迷子にならないようにする
・ヒトがジャンプを使うことで有利にチェイスできるようにする
※チェイス:敵vs味方で追いかけっこすること

2. 資料化

コンセプトをもとに資料化します。
ここでマップにどういった要素を入れるかを検討します。
“この場所はこういう遊び”といった感じで方針を固め、それに必要なオブジェクトの配置を決めたらチームに共有をします。
意見をもらい、修正を繰り返します。

マップ資料のイメージ(1マス3m程度で色を分けて何を置くかがわかるようにしている)
 水色:結界解除装置
 緑色:隠れられるオブジェクト
 橙色:壊せるオブジェクト
 赤茶色:壊せないオブジェクト

3. データ作業

資料が固まったらデータ作業に入ります。
『かみながしじま』ではUnityを使って開発をおこなっていて、マップはUnityの機能である「Terrain」を使って制作しています。
※Terrainとは:Unityエディタ上で地形を作成できるモデリング機能で、ポリゴンの頂点をペイントするように起伏をつけたりデザインすることができる

土台作り

PaintTerrainを使ってまずは土台を作ります。
SetHeightを選び、Brushの種類とサイズと高さを選びます。
最初は大雑把に広めに作るため、丸く作ります。

地形の起伏

次は海辺から山に向かうよう、地形に起伏をつけて整えていきます。
同様にSetHeightで高さに差をつけ、そのあとにSmoothHeightでなだらかにします。

基本は平坦ですが、奥に向かっていくと地形が少し高くなっているのがわかると思います。

地面のテクスチャ

PaintTextureでざっくり地面にテクスチャを塗っていきます。

同じマップ内でもエリアが変わるのがわかるように色を分け、移動しやすいように道もつけています。

オブジェクトの配置

地形の作業はここまでで、次はオブジェクトを配置していきます。
まずはキーとなるオブジェクトを配置します。
このゲームのキーオブジェクトは「結界(脱出するために解除するもの)」と「出口」です。

オブジェクトデータをマップに配置していきます。

その次に目的地までの大まかなルートを作るために大きな岩を配置します。
だいぶ雰囲気がでてきました。

さらにシンボリックなオブジェクトを配置していきます。
(『かみながしじま』では既視感のある特徴的なオブジェクトで場所の特徴を覚えやすくさせています)

ここまでで大枠はできあがりました。
次は細かいレベルデザインで使う壁とバリケードの配置をします。

資料化の際に決めた方針にあわせながらマップ内で位置を調整します。

最後にヒトが身を隠せる茂みを配置します。
ここまでできたらデータ作業は一先ず終わりです。

4. 調整作業と不具合修正

遊べる状態になったらテストプレイをおこないます。
フィードバックをもらったらマップの大きさやオブジェクトの配置などを調整していきます。
これを繰り返しおこない、形が固まったらデザイナーさんに依頼して景観を整えてもらいます。

そして最後に不具合の修正をおこないます。
意図していないことができないか見てもらいます。
大量の不具合が出るのでそれらを修正していきます。
一通りの修正が終わったらマップの完成となります。
(長かった……。)

マップ制作の感想

3Dマップをイメージ通り作るには知識が必要で、学習に時間をかけないといけないと思っていました。
ですがTerrainはペイントするように使えて、初めて使う自分でもすぐにマップ制作に取り掛かることができました。

以下にTerrainの良かった点と、対戦アクションのマップ制作ならではの苦労と工夫をまとめました。

Terrainの良かった点

・直観的なUIで未経験でもすぐに扱えるようになった
・地形も起伏もサイズと高さを決めればすぐに作れる
・なだらかな坂も簡単に作れた
・地面にテクスチャを貼るのもスプレーのように直観的に使えた
・修正も素早くできるため、調整を繰り返す際にも問題なく作業ができた

対戦アクションのマップ制作ならではの苦労と工夫

マップの大きさ決めの苦労

・マップ内の移動時間と結界を解除する時間も考える必要があり、調整が度々発生した
・マップ側の修正をおこなう際に、すでにオブジェクトの配置をある程度固めてしまっていたために調整コストが大きくなってしまった

地形作りの工夫

・対戦ゲームなので繰り返し遊んだ時に飽きさせないよう、マップは1つの地形を使い複数のマップを用意することにした
・オブジェクトの位置変更だけで作る必要があったため、地形をなるべく平坦にすることで対応しやすくした(おかげで前述したマップ側の調整コストは多少抑えられた)

オブジェクトの配置の工夫

・ヒト側はジャンプを使えるためオブジェクトの隙間にハマったり、敵から攻撃を受けない場所に行けたりしないよう配置をおこなった(それでも問題は起きる…)
・オブジェクトはデザイナーに用意してもらうため、コミュニケーションをとって問題意識を揃えて制作を進めた

終わりに

今回はマップ制作の経験がないプランナーがTerrainで作った方法を書きました!
こういった経験をさせてくれる環境に感謝しつつ、より良いものを作っていけるよう引き続き頑張っていきたいと思います。
実際にどういうマップになっているか気になる方は是非プレイしてみてください!
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