V24-バトルカットシーンと連載最終回

V24-バトルカットシーンと連載最終回

こんにちは!マネージャー・テクニカルアーティスト・アートディレクターなどを担当しています遠藤博紀です

3月から続けてきたV24のブログ連載ですが、今回で最終回となります(ここまで読んでいただき大変ありがとうございます)
今回はブログを書き始めてから追加で作成したシーン「バトルカットシーン」について紹介したいと思います。基礎となるシーンやアニメーションはAimingで制作し、エフェクトは㈱ドキドキグルーヴワークス様で制作いたしました。記事も弊社と藤田様(ドキドキグルーヴワークス)に協力いただきました!

この記事はバトルカットシーンでのエフェクト制作について、カット事のエフェクトの意図やエフェクト素材に関して簡単な解説を交えつつ紹介させて頂きます


V24概要

V24はビジュアルアートデモ2024の略で、技術向上とPRを兼ねて、ふだんのスマートフォン向け開発の中ではあまりできない手法や表現を短いデモリールを作成して行うというプロジェクトです


エフェクトの制作工程

今回制作したデモではコンテをもとにモーション、カメラワークを作成した後にエフェクトを付けるという流れで作成しています。

エフェクト制作の工程としては

1. コンテをもとにざっくり全てのカットにエフェクトをのせる
2. ライティングやポストエフェクトを方向性を確認出来る程度に調整をいれる
3. キャプチャをチームメンバーに共有し気になる点やブラッシュアップのアイデアを頂きカット事に細かく調整を入れていく

といった流れで行いました。

■動画の中ででてくるエフェクトの種類

  • 環境エフェクト
  • スキルエフェクト
  • デカール
  • ポストエフェクト
    ※呼称や分類の違いが多少あると思いますが、概ねこのような内容です
■バトルカットシーンでのエフェクトのお題

お題の内容は、既存のプロジェクトで既にやっているものもありますが、技術的なクオリティラインを再確認する上でも明記するようにしました

  • タイムラインを用いたカットシーンでのエフェクトの管理
  • VFXグラフを使ったエフェクト制作
  • シェーディング情報を持つライトの影響を受けるエフェクト
  • シェーダーグラフ・ポストエフェクトとの連動
  • デカールを用いた表現

カットごとのエフェクト意図や制作方法

 

■C1 振り上げられるモンスターの腕

土煙と塵を腕から飛ばし、塵の細かさでモンスターのスケール感を強調し、

太陽にはハロエフェクトを入れ手がハロ(光)を覆うことでモンスターの威圧感も補強しています。

またキャラクターのマントの動きに合わせて砂煙も配置し、空気と空間も演出しています。

土煙の表現

今回は薄めに作成しているのでわかりにくいですが、煙は6方向からのライティングを合わせたテクスチャ(6 waylightmap)を設定することでボリューム感のある煙を作ることができます。

※6 waylightmapについてはこちら(Unity公式サイト)


■C2 モンスターの叩きつけ攻撃

塵をカット初めから降らせておくことで前のカットとの繋がりを出しつつ緊張感を演出しています。

地割れデカール

このカットではデカールを使用し地面にひび割れのテクスチャを適用しています。

ノーマルマップも設定できるのでライティングに合わせて陰影も変化します。

※デカールの詳細についてはこちら(Unity公式サイト)


■C3 跳躍するトワリカ

タイムラインでのVFXグラフの発生タイミングの制御

VFXグラフはタイムラインから簡単に制御できるようになっており、発生タイミングやパラメータの制御をタイムラインから行う事が出来ます。

カット3ではキャラクターの現在位置から、跳ぶタイミングに合わせて土煙を発生させています。

タイムラインでのVFXグラフのパラメータの制御

同じVFXグラフで跳躍の力加減に合わせて土煙の濃さや大きさを変えるなども可能で「Initialize Particle」にアトリビュートを入れておくことでタイムラインからパラメータを操作できます。


■C4 赤熱する剣

こちらのカットは炎(熱エネルギー)を剣に集約し赤熱させるイメージで作成しました。

炎はシミュレーションで16コマ、4パターンの連番画像を作成し、VFXグラフでランダムにいずれかのパターンが再生されるようにしています。

没案

始めは魔法陣を潜り抜け剣が炎を上げて赤熱するという表現でした。

こちらのカットの修正とその理由について解説します。

1.魔法陣を収束する炎に変更

魔法陣はこの短い時間だと過剰な情報量になり何が起きているのか伝わり辛かった為、
炎(熱エネルギー)を剣に集めている、ぱっと見で理解しやすい表現に落ち着きました。

2.剣から出る炎をなくす

次のカットの炎をより強調する為、こちらのカットではエフェクトを控えめに調整しました。

演出の強調は足すだけでなく、そのほかを引くという事も選択肢があることも忘れない様にしたいです。


■C5 突き立てられる剣

剣に集約した熱を突き刺すと同時に発炎し、熱でモンスターの腕を焼き切っていきます。

炎は先ほどと同じ連番を出し方を変えて流用しています。

傷のデカール

発炎と同時に腕に傷デカールを張っています。

テクスチャは地面の時の物を使いまわして発光させています


■C6 燃える血の斧へと変形する剣

燃える血の刃

炎で焼いて赤熱させたモンスターの血を刃の形へ収束させるイメージで作成しました
液体的なエフェクトは今回はSubstance Designerを用いて作成したテクスチャとシェーダーで表現しています

Substance Designerでノーマルとディゾルブやディストーション用のマスクテクスチャを作成

VFXグラフに必要なパラメータを渡せるようにシェーダーを作成

VFXグラフで動かしている様子


エフェクターを目指す方へ

今回はカット事にエフェクトの意図や作成方法に関して、少しかいつまんで紹介させて頂きました
エフェクト制作は、様々な表現を模索出来てしまうことから、技術に振り回されやすいセクションではありますが

  • 演出意図など目的からぶれない様にすること
  • 魅力的に演出すること

など制作を進める上で迷子にならないよう指針をもてると良いかもしれません
ゲームにおいては、処理負荷=表示を軽くする工夫なども考えられると良いです
目的のための最適な表現(みため)、技術(つくりかた)、演出(みせかた)が選べるよう
一緒に感覚を鍛えていきましょう!


V24のブログ連載を終えて

今回は「Aimingで普段つくっていないようなものにもチャレンジし、技術習得する」という命題を立て1つのプロジェクトとして発信をさせていただきましたが、今回プロジェクトに参加したメンバーに限らず、現場では日々よりクオリティの高いものが作れるよう新しい技術や手法にチャレンジしています。社名の由来でもある面白そうなものを狙い撃ち(Aim)できるような体制作りを心がけています。

現状に満足せず、チャンスを逃さないように日々成長したい方やチャンスを狙いたい方は一緒に何かやりましょう!
また、その際「V24の記事を見ました」と言っていただけると喜びます

連載を読んでいただきありがとうございました


デザイナーを募集中です

Aimingでは、より良いものを追い求める技術向上や表現の追求に興味があるデザイナーを募集中です。今回はデザイナーの話をしましたが、企画やエンジニアも同じような方々が集まっている会社です。このような環境でゲームを作りたいと思った方は、ぜひ下記の応募欄から応募をお願いいたします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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