リリステ_アート開発話・3Dモデル

リリステ_アート開発話・3Dモデル

はじめまして。Aiming第ニ事業部アート部シニアマネージャーの板井です。

今回紹介するタイトル「2.5次元の誘惑(リリサ)天使たちのステージ」(以降「リリステ」)では、アートディレクターを担当させていただきました。
今回はそのリリステの開発について、キャラクターの見せ方とモデリングを中心に少しだけ紹介させていただきます。


開発開始段階でのアートの課題と対策について

 本開発の開始から半年前の2022年12月末、試作開始前で課せられた課題は「高品質な3Dキャラクターモデルに挑戦する」ことでした。
更に、タイトルとしてリリステの女の子の魅力を最大限に感じてもらうため「より近くでキャラを見たい」という課題もありました。
今回は、その為の試行錯誤を3つほど紹介します。


▲アニメ設定画と3Dモデルの比較(左がアニメ設定画・右が3Dモデル)▲

▲3Dモデル360度回転イメージ▲

課題1:より魅力的な3Dキャラクターモデリング・骨格表現の強化

リリステのキャラクターモデルは、最大8人表示する事を想定し、約40000ポリゴンとしました。
コレは、今までの第ニ事業部のタイトルに比べ、約2倍以上となります。
理由の一つとしては、上記に記載した「アップでキャラクターを見た際に、耐えうるクオリティにするため」です。
そのクオリティの基軸として「アニメの再現性」を重視しました。
キャラクターの顔・表情については、より重点的に気を使いました。

また、キャラクターの動きのリアリティを追求するために、関節表現の強化に注力しました。
特に、アニメーションの自由度を確保しつつ、自然な動きを実現するために、映像作品に近いリグ(骨格構造)を導入しました。
このリグ構造は、より柔軟かつ滑らかな関節動作を可能にし、キャラクターの動きに説得力を持たせることができました。


▲脇周りのモデルの挙動イメージ▲

▲ゲーム画面上での見た目▲
質感については、これまでAimingで使用してきたトゥーンシェーディングの機構を活かしつつ、アニメのイメージを壊さない範囲での、服の質感表現に力を入れました。
また、アニメと違い、カットに合わせた表情をはっきり見せるため、前髪が透ける処理などを加味しています。

課題2:物理表現の強化

今回は細部の動きをこだわるため、髪の毛・スカートと言った「ゆれもの」の表現の強化も取り組みました。
開発当初は、作業時間の緩和も想定し、物理シミュレーションを重点的に使用した開発を考えていましたが、複雑な服装やアップになった際の演出向上の為、状況に応じて手動でのモーション作成を組み合わせています。


▲物理シミュレーションのセットアップイメージ。▲

▲プレイヤーの入力によって変動するシーンでは物理シミュレーションを採用▲

▲SPスキルやカットシーン等、固定化されてる演出は手動でのアニメーションで対応▲

課題3:キャラクターを魅力的に見せるカメラ演出法

最後に、キャラクターの魅力を最大限に引き出すためにとった演出方法の一部として「バトル待機カメラ」を紹介させて頂きます。
リリステでは「キャラクターの心理描写」や「視聴者の物語への没入感」をなるべく高揚させる演出にしたいという企画的な要望がありました。
その際、チップ選択のようなゲーム的な画面で没入感を阻害しない画面づくりが求められました。
そこで、実際に「群衆を実際に撮影している雰囲気」に寄せる演出を試みました。
まずカメラは、アニメで多用される「キャラを中心に手前と奥の配置物が高速移動をするカメラワーク」を軸に考えました。
その流れになるべく乗せつつ、俯瞰カメラやアップを組み合わせることで「動きのあるカメラワーク」と「実際にコスプレを撮影するとき臨場感」を演出しました。
この取り組みは、作品のテーマ性とキャラクターを様々な視点から見せる表現として効果的でした。


▲ゲーム構想段階のバトルカメラの挙動イメージ▲

▲実際のゲーム画面▲

最後に

今回は、主に3Dキャラクターモデリングと見せ方についてを中心に書かせて頂きました。
他にもリリステにはモデル以外のアート面から企画面にまで「戦わずに魅せ合うバトル」を引き立てるための工夫が多数含まれております。
今後の開発ブログでもご紹介していきますので、是非また読んでください!!

©橋本悠/集英社・リリサ製作委員会 ©Aiming Inc.